工事現場の技術者制度とは
建設工事の適正な施工のためには、実際に施工している工事現場に、一定の資格経験を持つ技術者を置くことが必要です。
このため建設業法では、建設工事の技術上の管理を行う主任技術者(法第26条第1項)又は監理技術者(法第26条第2項)を工事現場に置かなければならないこととしています。
主任技術者は、建設工事の施工に当たり、その施工計画を作成し、具体的な工事の工程管理や工事目的物、工事仮設物、工事用機材等の品質管理を行うとともに、工事の施工に伴う公衆災害、労働災害の発生防止のための安全管理、労務管理等を行います。
監理技術者は、主任技術者の職務に加え、下請人の指導・監督、複雑化する工程管理など総合的な機能を果たすことが求められています。
主任技術者・監理技術者は、工事を請け負った建設業者と直接的かつ恒常的雇用関係にある者としていますので、在籍出向者、派遣社員等は該当しません。
建設業法における技術者制度の概要
許可を取得 している業種 | 指定建設業 (7 業種 )( 土木・建築・管・ 鋼構造物・舗装・電気・造園工事業 ) | その他(22業種) | ||||||
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建設業の許可制度 | 許可の区分 | 特定建設業 | 特定建設業 | 一般建設業 | 特定建設業 | 特定建設業 | 一般建設業 | |
営業所ごとに置く専任技術者の資格要件 | 1級など 国家資格者 大臣特別認定者 | 1級など 国家資格者 大臣特別認定者 | 1級・2級 など 国家資格者 実務経験者 | 1級など 国家資格者 大臣特別認定者 | 1級など 国家資格者 大臣特別認定者 | 1級・2級 など 国家資格者 実務経験者 |
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工事現場の技術者制度等 | 元請工事における下請金額合計 | 4,000万円 (建築 一式 工事は 6,000 万円)以上 | 4,000万円 (建築 一式 工事は 6,000 万円)未満 | 4,000万円 (建築 一式 工事は 6,000 万円)以上 は契約でき ない | 4,000万円 以上 | 4,000万円 未満 | 4,000万円 以上は契約 できない |
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工事現場に置くべき技術者 | 監理技術者 | 主任技術者 | 主任技術者 | 監理技術者 | 主任技術者 | 主任技術者 | ||
1.全ての工事現場には、主任技術者又は監理技術者の配置が必要 2.下請契約の増額変更により4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上となった場合は、監理技術者の配置(主任技術者→監理技術者)が必要 |
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技術者の資格要件 | 1級など 国家資格者 大臣特別認定者 | 1級・2級 など 国家資格者 実務経験者 | 1級・2級 など 国家資格者 実務経験者 | 1級など 国家資格者 大臣特別認定者 | 1級・2級 など 国家資格者 実務経験者 | 1級・2級 など 国家資格者 実務経験者 |
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技術者の現場専任等 | 請負金額 3,500万円 (建築一式 工事は7,000 万円)以上 | 請負金額 3,500万円 (建築一式 工事は7,000 万円)以上 | 請負金額 3,500万円 (建築一式 工事は7,000 万円)以上 | 請負金額 3,500万円 以上 | 請負金額 3,500万円 以上 | 請負金額 3,500万円 以上 |
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1.請負金額の増額変更により 3,500 万円 ( 建築一式工事は 7,000 万円 ) 以上となった場合は、専任の技術者の配置(兼任→専任)が必要 2.公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事については、工事現場ごとに専任でなければならないとされています ( 法第 26 条第 3 項 ) 。 ただし、これらの建設工事のうち密接な関係のある2以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施行するものについては、同一の専任の主任技術者がこれらの建設工事を管理することができるとされています(令第27条2項)。 詳しくは(国土交通省)「専任の主任技術者の取扱い(要件緩和)」こちら |
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監理技術者資格者証の携帯 | 必要 | 不用 | 不用 | 必要 | 不用 | 不用 | ||
施工体制台帳の作成 | 1.下請契約4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上の場合に必要 2.公共工事は下請け契約金額にかかわらず必要 |
「監理技術者又は主任技術者となり得る国家資格者等一覧」こちら
技術者の資格を取得するには
建設業法では施工技術の向上を図るため技術検定制度を設けています。
技術検定は次の6種目がありそれぞれ1・2級に分かれています。
試験又は研修により、国土交通大臣から合格証明書を交付された者は、「1級土木施工管理技士」のように称号を称することができ、その級、種目ごとに建設業の許可基準である営業所に置く専任技術者や、工事現場ごとに置く主任技術者又は監理技術者の資格に対応します。
技術検定種目 称号名 試験実施機関
建設機械施工 建設機械施工技士 (一社)日本建設機械施工協会こちら
〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8
機械振興会館
Tel:03-3433-1501
土木施工管理 土木施工管理技士 (一財)全国建設研修センターこちら
〒187-8540 東京都小平市喜平町2-1-2
3号館
Tel:042-321-1634
管工事施工管理 管工事施工管理技士
造園施工管理 造園施工管理技士
建築施工管理 建築施工管理技士 (一財)建設業振興基金 試験研修本部こちら
〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-2-12
虎ノ門4丁目MTビル2号館
Tel:03-5473-1585
電気工事施工管理 電気工事施工管理技士
国家資格と紛らわしい名称の受験案内が会社や自宅にダイレクトメールがきたり、電話がかかってくることがありますが、実施機関では郵便や電話による勧誘をすることはありませんので、ご注意ください。
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